結婚にまつわるさまざまな方にインタビューする「シアワセバトン」。
その第一弾として、人気ウェディングプランナー・有賀明美さんにお越しいただきました。
当社代表取締役社長・間宮亮太との対談で、コロナ禍を経た今だからこそ心に残った結婚式や、婚活婚カップルへのアドバイスなど、実に1,000組以上の新郎新婦の声に耳を傾けてきた有賀さんならではの興味深い話を数多く語っていただきました。
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【スペシャル対談 ‐後編‐】 テイクアンドギヴ・ニーズ ウェディングアドバイザー 有賀明美 × エン婚活エージェント 代表取締役社長 間宮亮太
間宮:ウェディングは、基本的には「当日のハッピーのためにやる」というのが常識だと思うんですね。でも有賀さんはこれまで1,000組以上のお手伝いをされてきて、その瞬間だけでなく、結婚式の先の二人の幸せが重要だと考えたプランニングをされている。
僕らも、創業当初から結婚後も幸せが続く婚活をテーマにしていて、ああ、同じことを考えて活動されている方が近い業界にいらっしゃるんだなあと。
有賀:プランナーになって、1年半、2年くらいかな。それまでは私も当日がゴールだったんですよね。こうしたいとおっしゃっていることを叶えて、最高の一日にするという。
でも、ある時ふと気づいて。あれ?「喧嘩したことないです」ってカップルに限って、結婚準備中にめちゃくちゃもめてない?って。
間宮:うん、よく聞きますね。自分の結婚式を思い出すと、ありましたね、多少(笑)。
有賀:ありましたか(笑)。そんなことがあまりにも重なった中で、この準備期間の方が、長い目で見た時には実はすごく大事なんじゃないかって思うできごとがあって。
ドレス選びの時に、「あ、めっちゃいいじゃん、俺、これ着て欲しい!」って新郎は思ったことをすぐ言えるタイプの方だったんですね。私もそれまでは、「ご新郎さまが着たらって言ってくれるドレス、素敵じゃないですか」って新婦の背中を押したり、その場を盛り上げるっていうことが自分の仕事だと思ってたんです。
でも何気なく新婦の表情見たら、視線は新郎が指さすスタイリッシュなドレスの先にある、ふわふわのドレスに向かっていて。彼が気に入ったドレスは、自分が着たいドレスじゃない。でも、彼が喜んでくれるんならと「いいね」と我慢してしまう。新郎はそれに気づいいていない……そんなプロデュースを、何組かやってしまったんです。
新婦の視線の先にあった“本音”で気づいたんです、「ハッピーウェディングは、ゴールじゃない」(有賀)
間宮:彼のうれしそうな顔を見たい、という気持ちを持っている女性も、もちろんいるでしょうしね。
有賀:そうなんですよね。でも結婚生活が始まってから、突然、新婦の気持ちが爆発して、ガタガタっと二人の関係が崩れてしまって……。結婚式は確かにハッピーだったけれど、残念ながら離婚してしまったみたいなことを何組か経験した時に、ハッピーウェディングをつくっても、それだけでは幸せな結婚生活は続かないんだなって。
結婚式の当日がゴールではないんじゃないかと思った時に、結婚式の2時間半を未来の幸せにつなげるための準備期間から、どう関われるかというのを考えるようになったんです。背中を押すこともあれば、時にはきっぱり、違いますよって言うこともあります。そんなおせっかいな人、多分、人生でそう多くは現れないと思うので(笑)。
間宮:有賀さんがよくおっしゃっている「相手の心の声に耳を傾ける」って、本人たち同士だと結構、難しくて。なかなか普段のやりとりでは気づかないこともあると思うんですね。
でも結婚式の準備で意見がぶつかるタイミングこそ、ある意味、本音で対話するチャンスなのかもしれませんよね。そういうことをやらずに話を合わせてそのまま結婚していくと、積もりに積もって爆発してしまうということですよね。
コロナ禍では、対話や絆を深め方について改めて考えさせられました(間宮)
有賀:このコロナ禍って、夫婦や結婚しようと思ってるカップルにとっては、相手を知るチャンスである気がしていて。明らかに今までよりも……。
間宮:接点の数というか、一緒に過ごす時間は長くなっていますよね。
有賀:そうなんです。時間もできたしどこも出掛けられないから、二人で家で話し合うとか。ブライダル業界もリアルのお打合せがまったくできない状態だったんですが、その中で何ができるんだろうという時に、「とにかく二人で未来について語ってください、今がチャンスです」って言って。結構、お題を出したんですよね。
間宮:おもしろいですね。
有賀:そうしたら、「5年付き合ったけど初めて知った、こんなこと思ってたんだっていうことがお互いにあったんです」とか、「喧嘩もしたけど、めちゃくちゃ絆も深まりました」とか。なんかこう、いいことを共有するだけじゃなくて、二人で乗り越えるって、ぐっと深まるきっかけになるんだなって。
間宮:コロナ禍を機に、式を挙げたい人のウェディング観みたいなのも変わりましたか?
有賀:変わりましたね。この数年は、結婚式を挙げると決めるまでの、お二人の覚悟というのがぜんぜん違いましたから。
間宮:そこから始まるのは、確かに全然、違いますよね。
有賀:そうなんですよ。こんな時期にやるからには、誰にどう思われても自分たちは感謝を伝えたいんだとか、夫婦で向き合って誓いをちゃんと立てたいんだって、二人の覚悟がぐっと強まっているので。そういえば先日、出席者8人という結婚式があって、これがめちゃくちゃ良かったんですよ。
間宮:ご家族だけですか?
有賀:そうです。こんなに全力で愛情を出せる結婚式もありだなって、気づかされたお式で。参列者全員が、新郎新婦にただただひたすらに愛情いっぱいの手紙を読まれたんですよね。弟さんが、新郎であるお兄ちゃんに対してとか、お二人も全員に対してなんですよ。ケーキカットも、俺たちもやっていいかって、新婦のご両親が参加して。せっかくだったら新郎側もっていう。
次々とそういうことが生まれて、新郎のお母さんから「娘に来てくれてありがとう」とか、「ご両親に愛された娘さんをいただいたっていうことを、夫婦で再確認しました」とか。最後はもう、みんなでハグしあって。こんなシーン、今まで見たことなかったなって。
間宮:お話をうかがっているだけで、気持ちが温かかくなりますね。コロナ禍で大変なこともたくさんありましたけど、対話をはじめ、改めて絆の深め方みたいなものを考えさせられました。
有賀:そう思います。恋人以上に、家族、結婚相手が必要だと思った人たちも、増えたんじゃないでしょうか。