有賀:先ほど「ハッピーウェディングはゴールじゃない」とお話ししましたが、幸せって、すぐに生まれなくてもいいと思ってるんですね。「幸せな花」って言ってるんですけど、未来に幸せな花が咲く種まきをするのが私たちの役目だよって言っていて。
間宮:幸せな花、素敵な表現ですね。
有賀:6年お付き合いしたけれど、ちゃんと「あなたが好きです」って言わずに結婚式を迎えられたカップルがいらして。新郎、アーティストで歌詞を書いてたんですよ。伝えるプロなのに、言わなくても伝わるでしょ、それが夫婦でしょって。でも、言葉で聞いて安心するっていう、男性と女性の感覚の違いもありますからね。
間宮:そこは違うでしょうね。
有賀:新婦がいないときに、ちょっとプチお説教のようなことをしまして(笑)。世の中に歌詞で思いを伝えるのと同じように、一番大切な人に、ちゃんと思いを言葉にして伝えましょうと。その言葉も、やっぱり自分の声で温度をもって伝えると伝わり方が違うからって。挙式で初めて、「君の好きなところ」っていうのを3つ考えてきてもらって言ってもらったんですよね。
新婦は、やっと安心できたって言って。今までこんなに大好きって伝えてきたつもりなのに、不安だったの?って不思議がる彼と、好きって言葉を一言聞ければ30年は幸せでいれるっていう彼女と。結婚5年くらい経ちますけど、「好きって定期的に言ってね」ってお願いしたら、彼は言えるようになったそうですよ。
言葉で、手紙で気持ちを伝えるための後押しは幸せの花を咲かせるための種まきです(有賀)
間宮:とても大切な気づきを、とくに男性側に与えることができたってことですよね。
有賀:そう思いますね。そういう男性多いですよね、多分。
間宮:多いと思いますね。でも、普通は言ってくれる人はいないので。
有賀:そうですね。素敵なおせっかいかなって思ってます。
間宮: 1600組の夫婦に対して、「生まれ変わってももう一回そのパートナーと結婚したいかどうか」を調査したんですね。結果、男女双方がそう思っている夫婦において何が重要かをデータとして見たら、一番重要なのはやっぱり対話だったんですよ。何気ない会話じゃなくて、深い対話ですよね。お互いがちゃんと思ってることを伝え合う、で、ちゃんと受け止める。感謝とか好きっていう気持ちも含めて、基本的なことですが重要で。
でも夫婦って、話さなくても分かり合えるんじゃないの的なことを、特に男性が思ってるイメージがあって。どうやったらこの重要性をスタンダードにできるのかなっていうのは、ずっと考えています。
「好き」の温度が高い時には目に入らないから互いの嫌なことを確認しておくことが大切ですね(間宮)
有賀:12年くらい前から、新郎もご両親にきちんと感謝を伝えましょうということで、結婚式での新郎謝辞が広がってきてるんですよ。
間宮:手紙を読むってことですか。
有賀:そうですね。20年前、私がプランナー現役だった頃は、「いや、、、ちょっとそんな、いいです」という人しかいなくて。でも男性だからこそ、自分の両親に対して言葉で伝える、大好きな人に伝えるということをやっていきましょうと背中を押し続けてきて、ようやく最近は、「男もやったほうがいいっすよね」っていう時代になってきてる。
それこそ若者ってTikTokとかで、普通にラブラブ動画とか上げてたりするじゃないですか。若いカップルに話を聞くと、「(好きって)結構、定期的に言ってるんで」って言われますし。
間宮:だいぶ変わってきてますね。
有賀:でもハッピーなところで共感してお付き合いをした時に、アンハッピーなことが起きて崩壊するってことが結構あるなと思っていて。私はこれをされたら嫌とか、理想じゃない家族像のシェアっていうのはかなり大事だと思ってます。
間宮:確かに、そうですよね。お互いの好きの温度感が高い時は嫌な部分は目に入らないし、あったとしても、「でも好きだから」ってなるんですけど。
一緒に過ごす時間が長くなっていくと、嫌な部分がより気になるようになってくることも。そこを確認し合っておくことは、とても大事ですよね。
PROFILE:有賀 明美 株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ ウェディングアドバイザー
1977年生まれ。型にはまった結婚式が一般的だった中、「結婚式にサプライズ」という新しい概念をつくりだしたオリジナルウェディングの先駆者。新郎新婦の心に深く入り込みつくりだすウェディングは時に「絆の修復」などの奇跡を生み、近年は「夫婦・家族」の有り方についての啓発活動もスタート。2016年6月には明星大学客員教授に就任。幅広い分野に活躍の場を広げ、各業界から注目を浴びている。
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【スペシャル対談 ‐後編‐】 テイクアンドギヴ・ニーズ ウェディングアドバイザー 有賀明美 × エン婚活エージェント 代表取締役社長 間宮亮太