婚活にも生かせるドラッカーの教え
「結婚したい」というのに、そのための行動を何もしていないという男女がとても多いですね。男性は傷つきたくないと尻込みし、女性はいろいろ女磨きをしていて忙しい。男女とも、それで出会いの場にも行けないのでは本末転倒です。
女性の社会進出が進み、ビジネスシーンでは男女とも戦略をたてて臨んでいるはずなのに、いざ婚活になると、客観的な判断も、明快な目標設定もできていないように思います。
婚活とは戦略である、と私は考えています。いつまでにどの課題をクリアするのか。ドラッカーが提唱する「選択と集中」は、婚活にも応用できます。これまでみなさんは、受験でも就活でも、ターゲットを選び、計画を練り、やるべきことに集中して行動してきたはずです。
人生の意味を考えたとき、誰もが、遊びだけ、仕事だけではないと思うことでしょう。人生の最期にどういうエンディングを迎えたいかというところまで見据えると、結婚や出産を若いうちから戦略的に進めることの大切さがわかってくるはずです。
私からは、ライフデザインという発想を軸に、婚活成功のポイントをお話ししていこうと思います。
期限を区切る、逆算思考
まず取り入れて欲しいのは、逆算思考です。
「いつ結婚するのか」をはっきりさせて期限を設け、タイムスケジュールを組みます。結婚を半年後、あるいは1年後と決めれば、自ずと「いつまでにお互いの家族にあいさつを済ます。そのためにはこの時期にはお互いの意志を固めておくべきだ。ならば、このころまでには出会ってつき合っていなくては……」というように、手順とタイミングが明確になってきます。
一見妄想めいていますが、これが大事。本気であれば、決めたその期間だけは婚活を優先順位のトップに置き、時間もお金もすべてそこに投資するくらいの気持ちが大切です。他にも何かやりたいことをのんびりと楽しみながらの“ながら婚活”では、結婚は遠ざかるばかりです。
また期限設定も、「なるべく早く」「この2、3年のうちに」ではあいまいすぎます。厳しいことを申し上げますが、婚活市場において、時間が経てば経つほど自分の価値は下がっていくのだという危機感の薄い人が目立ちます。特に、美人でちやほやされてきた女性は、恋愛市場ではいくつになっても通用するとカン違いしやすいですね。けれど現実には、「子どもが欲しいから、妻にするのは若い女性がいい」と思っている男性は少なくありません。
男性もまた、年齢を重ねれば重ねるほど、その年まで未婚だったことに警戒心を持たれ、結婚が難しくなります。今日のこの日が、あなたはいちばん若いのです。気持ちを切り替えて、短期決戦の意識で臨みましょう。
客観的な目で“自分”について知る
婚活中の人で、自分を過小評価している人が多いですね。自分のことをフラットに見られないのも困りますが、魅力がないと言い訳をして、自己ときちんと向き合おうとしないのがいちばん問題です。婚活をスムーズに進めるためには、客観的に自分の性格や得手不得手などを知っておくことが大前提。自分だけではわからないところもあるので、家族や友人など第三者からもアドバイスしてもらいましょう。
誰にでも長所と短所があります。しかし、長所と短所は表裏一体ですから、相手によって受け取り方は変わることもあります。「思慮深い」は「行動力がない」と思われるかもしれませんし、「細かいことを気にしない大らかさ」は「何事にもおおざっぱ」と見られるかもしれません。どんなにすばらしい人でも嫌う人はいます。自分の強みを知り、そのアピールポイントを活かして、自信を持って挑んでください。
婚活に、他人の価値観を持ち込まない
自分を知ることの中には、自分の価値観をクリアにしておくことも含まれます。どういう相手をパートナーにしたいのか、どんな結婚生活がしたいのか、ストライクゾーンを固めておきましょう。
年収、学歴、職業、身長などパートナー選びの条件が細かすぎる人も困りものですが、もっとやっかいだと思うのは、世間の物差しを気にする人です。大学偏差値や、優良企業ランキングとは違うのに、価値判断に自信がないのか、周囲に自慢できる相手かどうかを基準にしている人を見かけます。
特に、女子大出身者に多い傾向として、同級生の夫よりランクが上の“ブランド夫”と結婚したいというプライドを感じます。男性ならば、自分にとってどうかは二の次で、親が安心するタイプかどうか、あるいは、連れて歩くと自慢できるタイプかどうかを重視する人がいます。けれど、親や周囲のために婚活しているわけではありませんよね。“互いの価値観や考え方とのマッチング”を考えた設計図に従って関係をつくっていくのがライフデザインであり、幸せな結婚への近道です。
婚活がうまくいっていない人は、男女とも減点法で品定めしがちです。理想の100点から、「ここが違う」とどんどん減点していくやり方では、お眼鏡にかなう相手はなかなかいないでしょう。自分にとってこれだけは譲れないという最低限の条件を決め、いいなと思うポイントがあったら加算していく方法で、ステキな人を見つけてください。
異性のいる場に出向いてチャンスづくり
「異性のいない島に住んでいませんか」。私が婚活のセミナーでよく言うのがこの言葉です。かつては、誰の周りにも「家、地域、会社」という3つのコミュニティーがあり、それを構成している人々の誰かが世話を焼き、結婚に向けて背中を押してくれていました。ところが、そうした密なコミュニティーは失われ、いまや誰も背中を押してくれません。
そんな中、異性のいない場所で「結婚したいな」とぼんやり思っているだけでは何も変わりません。
一例をあげれば、メーカーの開発部門にいる技術職のような男性は、高学歴・高収入であっても、気軽に接することができる女性が周囲にひとりもいないことだってあります。趣味も、車やオーディオなどひとりで完結するものばかりというケースはめずらしくありません。
女性は、とにかく忙しいですね。仕事、旅行、趣味、エステ、女子会。いったいいつ異性と知り合う時間があるのでしょう。
男女ともに出会いがあちこちに転がっていない時代ですから、こうした結婚情報サービスを利用しない手はないと思います。考えようによっては、逆にとてもチャンスが広がってきた時代ともいえます。
こうしたソーシャルなサービスがなかったころは、ごく身近な人や知人からの紹介でしか出会えなかったわけですが、システムを活用すれば、より広い範囲から、身元の確かな相手を紹介してもらうことができます。
先ほどストライクゾーンの話をしましたが、それがブレなければ効率的かつ合理的に、多くのパートナー候補に会うことが可能です。たくさんの人に会えば会うほど、いい人と出会える確率は高くなります。
婚活のアドバイスをしていて思うのは、男女関係なく「結婚したい」と思われる人は、相手の立場に立って考えてあげられる姿勢がある、聞き上手な人です。婚活はAKBの総選挙のように、たくさんの人から好意を寄せてもらう必要はありません。運命の人から好意をもってもらえるのが、婚活市場での“モテ”です。2人以上では多過ぎます。たった1人の最良の相手を見つける一歩を踏み出してください。